07.10
Cafe卒業生インタビュー#1
2020年9月から約1年半、Caféまちかどで『Tomita coffee roastery』を営業していた冨田学克さん。
2021年12月に念願の常設店をオープンしました。一人ひとりの好みに合ったコーヒーの提案をしてくれるオーダー焙煎のお店です。
Caféまちかどがある一橋学園駅から徒歩圏内、線路を挟んだ西側にある青い軒先テントが印象的なお店が『Tomita coffee roastery』です。
Caféまちかどやお店で出会った仲間たちと一緒に、ペンキを塗ったりDIYをして作り上げました。
コーヒーのおいしさに気づいたのは30代になってからという冨田さんは「誰でも気軽に楽しめるコーヒーを提案していきたい」と話します。
理想のお店を持つまでのお話や、コーヒーへの想いをお伺いしました。
実は2020年に現在とは違う場所でお店をオープンする準備を進めていたという冨田さん。飲食業の仕事をしながら自家焙煎で個人販売を展開し、店舗の場所も決まっていたといいます。さぁいよいよというときに、1回目の緊急事態宣言が発令。人がまちから消え、このタイミングで開店はできないと判断し、計画は白紙となりました。
仕事を続けながら次の機会を待とうと思っていたときに、Caféまちかどの代表と出会います。
「週1回の営業でも何もやらないよりやった方がいいと思いました。仕事を続けながらできるし、自分に損になることはないので、やれることはやろう!と」。
参入するときに運営陣としっかり話し合いの場が持てたことで、不安なくはじめられたといいます。
自分のお店を持つことが目標の冨田さんは、よい物件と出会えたら卒業する意思を共有して、運営陣や他の曜日の店長たちに応援してもらえた関係性がありがたかったそうです。
30代になるまでコーヒーはそれほど詳しくなかったという冨田さん。焙煎しているお店のコーヒーを初めて飲んで「これはうまい!」とすっかりコーヒーの虜に。いろいろな豆を試し、飲み比べだけにとどまらず焙煎をはじめます。
「40代にさしかかる頃、何かを生み出す仕事がしてみたいと思ったんです。昔からものづくりが好きだったので、自分がわくわくするようなものを作って仕事にできたらいいな、と。そのとき、コーヒーを仕事にできないかと考えはじめました。」
次に挑戦するなら一生をかけてやり遂げられることがしたい、そう思ってはじめたコーヒーの世界。
「かつて自分がコーヒーを好きになったように、詳しくない人でも気軽に楽しめるコーヒーを提案したい。」
それが冨田さんの変わらぬポリシーです。
「コーヒーに詳しくない人でも、苦手な味はわかると思うんです。苦味が苦手、酸味が苦手…そういった苦手をまず解消して提案します。そこから自分の好みを探ってもらいたい。自分がおいしいと思うものが正解なので、お客さんが好きな”自分の味”を一緒に考えていけるお店でありたいと思います。」
豆の種類や焙煎の時間など、無限のかけ合わせができるほど奥深いコーヒーの世界。だからこそ、一人ひとりに合った味を見つけることにやりがいを感じると話してくれました。
豆がはじける音を聞き逃さず、慎重に焙煎をする冨田さんの姿は真剣そのもの。音、香り、色、つやを瞬時に判断し、タイミングよく引き上げます。自分好みのコーヒーを目の前で焙煎してもらえるので、新鮮な味わいを自宅で楽しむことができます。
「シェアカフェは自分でお店を構えるよりもリスクが少なくいろいろなことが試せます。まちかどにいた期間にたくさんチャレンジできたことが、今のお店にもつながっています。」
お客さんを巻き込んで新メニューに投票してもらうなど、まちとのつながりが強くなったことでイベントの出店や新しい機会にも恵まれたといいます。
「何よりコーヒーのニーズを感じることができたので、このまちに自分の店舗を構えることができました。仲間に出会えたこともとても大きいですね。」
コーヒーにかける情熱と丁寧な仕事。一度は白紙になってしまった夢の実現に向けて、立ち止まることなくチャレンジし続けた冨田さんだからこそ、応援したい人がたくさんいるのだと感じました。
「チャレンジショップなので、やろうと思ったことは全部やったほうがいいと思います。自分の店舗を構えると、やりたいことと現実のすり合わせが必要になってきて、思い切った選択には大きなリスクが伴います。僕自身いろいろ試してから実際に店舗を構えられたので、スムーズに理想と現実のギャップを埋めることができました。」
そしてすぐには結果がでないこと、週1回の営業でまちになじんでくるのは半年くらい時間がかかることを頭に入れて計画してほしいと話してくれました。
「これからもお客さんとの対話を大切にして、一人ひとりに合ったコーヒーを一緒に作っていく…それを変わらず体現していく店でありたいです。」
そう話してくれた冨田さんの表情から、コーヒーへの愛とやさしい人柄が感じられました。
一橋学園駅北口から学園坂商店街を下って徒歩2分